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2005年9月23日 (金)

『最初の入院』③ Crohn's Disease-7

人生初めての入院生活は検査と退屈の日々だった。

最初の2日ほどは相変わらずの貧血状態でボーっとしていた時間が多かったが次第にその状態が解消されるのに比例して時間を持て余すことが多くなっていった。また貧血状態がひどいという事で有無を言わさず個室への入院を余儀なくされたということもあってほとんど他の患者と顔を会わすことがなかったこともそうした時間が増える一因だったかもしれない。もっともあまり他人と積極的にコミュニケートすることが得意ではないことを鑑みるとそれはあまりデメリットではなかったかもしれないが。

もうひとつ退屈を生み出す要因は絶食であったということだと思う。入院したその日から退院する3日前までの9日間一切食事をすることができずIVHで高カロリー輸液をひたすら注入される状態が続いたが食事ができないことがこれほどまでに辛い事かと改めて感じた。それは単に食べられないということの苦痛ではなく食事をするという行為が生活のリズムを生み出すものであり、それがなくなることでこれほどまでに一日のリズムを作る事が難しくなるという事の辛さであった。まあこのことは食べるということに対する認識を改めるよいきっかけになったことで自分にとってはよい経験ではあった。

そうした退屈な時間も検査のある日は多少時間がつぶれるという意味でありがたかった。入院中に行った検査を列挙すると胃カメラ→小腸造影(小腸X線)→大腸ファイバー(2度目)→注腸X線という順番で検査が行われた。おそらくクローン病を患ってる患者にとってはスタンダードな検査であり多くの方が受けてる検査である。この他にも腹部のCTを1度、IVHの確認のためのレントゲンが1度、採血が3度ほどあった。まあ入院生活が初めてなので当然どの検査も初めての経験で(採血も2度ほどしか経験がなかった)検査の前にはビビり根性丸出しに検査の説明に来てくれる看護師にしつこいぐらいに検査内容を聞くこちらの姿は多分滑稽に映ってたのではないかと今になって思う。

これらの検査の中でやはり一番辛かったのは小腸造影である。前日ドクターに検査の詳しい内容を聞き鼻から管を通すだのそこからバリウムを入れるだの決して楽な検査ではない事は知らされていたがそれでも去り際「まあ麻酔するからそんな辛いことはないと思うよ。」という言葉に多少安堵していた。ただそれでも検査当日は朝からどこか落ち着かない事は自覚していた。いつも病室に来たときはお互いにバカ話をしてこちらの鬱屈した気持ちを和らげてくれていた看護師のkさんともその日はあまり話もせず「体調悪いんですか?」と余計な気を使わせてしまうような状態であった。それでも前日のドクターの言葉を信じ検査室まで送ってくれたkさんともそこに向かうまでの間くだらない会話をするぐらいには平静になっていた。

検査室はやはり静かであった。入るなり検査技師に「これに着替えて待っていてください。」と声をかけられ検査服を渡される。手早く着替え近くにあったいすに腰掛け待っている。すぐそばに相当長い管が置いてあったのが目に入った。これを鼻に入れるのかと思うと多少げんなりしたが「まあしょうがねえなあ」とそのときには軽く達観した気持ちになっていた。検査技師が再び現れる。おもむろに「検査の内容についてお聞きになってますか?」と言葉をかけてくる。その唐突さに刹那どきりとしたが「はい。一応聞きました。」と答え続けて「麻酔してもらえるんですよね?」と聞き返した。しかし検査技師は「いや。麻酔はしません。検査中体をご自分で動かしてもらわないといけないので。」とつれない返事。その瞬間「いや、先生は麻酔するって仰ってたんですけど。」というこちらを気にすることもなく「いやー。しないですよ。」と検査の準備をしながら軽い笑みを浮かべながら答える。それを聞きなぜか絶望的な気持ちになり「あー、そうですか。」と弱々しく答える以外の言葉の選択肢が浮かばなかった。そんなこちらの気持ちを察することもなく「このゼリー、吸ってもらえますか。」とチューブに入ったゼリーを渡される。もはや検査技師の言いなりに時を進めるしかない僕は言われるがままに行動する。続けてチューブが鼻に差し込まれる。「奥までいってぶつかったら吸ってください。」という言葉を受け鼻を吸うがうまく通らない。鼻の穴細いね。」と隣で検査技師がぼそっと言葉を漏らすがこちらはそんな言葉に反応する余裕などない。ともかくも無理やり鼻の穴をチューブが通りのどのあたりに近づくと「ごっくんしてください。」とガキを諭すような口調で言葉をかけてくる。またしても言われるがままつばを飲み込むと同時にチューブがのどを通過する。おえー」と何かがのどの奥から出てきそうな感覚があったが実際には吐き気止めを飲んでたので何かを吐くということもなかった。その代わりに無意識に涙が一筋流れてきた。

そのあと検査は1時間半続いたがあまり記憶に残っていない。一応言われるがままに体を動かしバリウムが入ってくる気持ち悪さと圧迫感は朧げながら記憶しているし検査後「この検査は腸管系の検査では一番きついからね。」と検査技師から言葉をかけられたことも何となく覚えているがそれも夢のような気さえしていた。検査中もう一人の担当医であるYドクターも検査の様子を見に来ていたらしいがそのこともこちらは全く覚えていなかった。検査後疲れ果て病室のベッドで横になっていた僕に検査結果を伝えにSドクターが来たとき「昨日の説明と違うやん。」と一応文句を言ってみたが「あっ、そうやったん。あれ麻酔したはずやけどなあ。」ととぼけてるのか本気で知らなかったのか定かではない表情を浮かべられるとこちらもどうでもいい気持ちになっていた。

結局すべての検査を終え『大腸型クローン病』という診断を受けた。横行結腸に狭窄が見られるがその他の部分に関してはそれほど深刻な状況にはない。食事に関してはいろいろ制約をしてもらわなければならないが病気の程度としてはそれほど深刻なものではないという説明を受けた。そして当初は1ヶ月はかかるかもしれないと言われていた入院期間も12日間で退院することになった。(ちょうどゴールデンウィークに入るときで病院も休診という事情もありましたが)

こんな感じで僕の人生最初の入院生活は終わった。正直クローン病という病気の煩わしさは入院中よりも退院してからの方が強く感じている。好きなものを食べられないストレス、いつ再発するかわからないというストレス、周りになかなか理解されないというストレス。もちろんそれが病気を再発するリスクファクターになることを理解していてもなかなか割り切れないもどかしさを感じてさらにストレスがたまる。もっと穏やかに緩やかに生活できればいいのだろうけどそんな術も持っていない。でもうまく病気と折り合いをつけて生きていくしかないと自分を納得させともかく毎日時間をすごしている。

_________________________

3回にわたりくだらない文章にお付き合いいただいた方ありがとうございました。m(_)m

このブログを見てくださっていた方はその後の不摂生がたたり僕がイレウスで入院していたことはご存知だと思います。まあ今はコンディションもよくなってきておかげでこうやってブログに昔の事を書こうという気力も出てきました。

これまではあまりクローン病について書いてこなかったんですがこれからは多少頻度を増やして患者として他の方にも病気のことを知ってもらいたいなあと思ってます。

ほかにも興味をもったり、あるいは関心がある事についてできるだけ毎日(あくまでもできるだけ(笑))更新したいと考えているのでお暇なとき覗いてください。お願いしますm(_)m

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コメント

完結編、読ませて頂きました。
小腸造影、確かに大変ですよね。
私も検査フルコース(胃カメラ、大腸カメラ、上部X線、大腸X線、小腸造影、小腸内視鏡、CT、レントゲン、採血3回)を12日間の入院でやりましたよ。なかなか忙しかったです(笑)

shinさんは大腸型なんですね。
私は小腸型なんです(なので小腸内視鏡もやったんですが)。
これからもクローン話やらその他の話、いろいろ聞かせて(読ませて?)くださいね♪

投稿 Reny | 2005年9月23日 (金) 22時13分

Renyさん。
コメントありがとうございます。
つまらない記事にお付き合いいただいて感謝です。m(_)m

Renyさんは小腸型ですか。以前ドクターにクローン病は大腸型に比べて小腸型のほうがきついと言う話を聞いたことがあります。
だから僕なんかよりも苦労されてるんだろうと思います。

まあお互いこれからも長く病気と付き合わなきゃいけないのでがんばりましょう。

ブログはできるだけ(あくまでも願望ですよ(笑))更新するようにしますんでまた覗いてください。

投稿 shin | 2005年9月23日 (金) 22時39分

麻酔ちゃんとやっていると思いますよ。
ゼリーが麻酔のはずです。
キシロカインゼリーというやつです。
私もその検査を初めて受けたときは辛かったという記憶が今でも残っています。
あの太い管を鼻から入れるときは自分でやりました。人にやられるのがなんだか嫌で、とりあえず胃までは自分で入れました。

種々のストレスについてはだんだんと付き合い方を身につけていくしかないですね。ただ、出来ないことを考えるよりも、今の状態を前提にしてやりたいようにやるほうがストレスが溜まりにくいと思いますよ。私の場合はですが。その辺りは人それぞれですから、いろいろとやり方があると思います。
各々が研究?していくしかないですね。

投稿 よね | 2005年9月24日 (土) 00時06分

私は小腸大腸型です。
主に小腸に病変があります。

私は入院して最初の3週間は普通食を
食べてました。でクローンが発覚して
絶食生活が1ヶ月半・・・この期間は
辛かったですね。狂ったように 飴を
なめていました、ふだん 飴なんて
食べないのですが・・・

小腸造影・・・思い出したくないです。

今は鼻注をしているので 鼻からチューブを
いれることに抵抗はなくなりました。
でも、あの検査だけはしたくないですね

投稿 くろーん調理師 | 2005年9月24日 (土) 04時53分

よねさん。コメントありがとうございます。

>麻酔ちゃんとやっていると思いますよ。
ゼリーが麻酔のはずです。

これは鼻の痛みを和らげるやつですよね。
僕がイメージしてたのは胃カメラする時とかにしてもらう体全体がボーとするような麻酔だったんですよね。

>種々のストレスについてはだんだんと付き合い方を身につけていくしかないですね。

仰るとおりです。これだけは自分で解決するしかないですからね。
ただ分かっててもなかなかできないところが厄介なんですよね。
でも同じ病気の方とブログ等を通じてコミュニケーションすることで少しでもそうしたことが緩和されればと思ってます。

また何か情報がありましたら教えてください。
お願いしますm(_)m

投稿 shin | 2005年9月24日 (土) 08時37分

くろーん調理師さん。
コメントありがとうございます。

やはり大腸型に比べると小腸に病変のある方は大変そうですね。
1ヵ月半の絶食って僕は絶えられそうにないです。
9日間でもいらいらしてた自分が恥ずかしいです。
でも僕も短い絶食期間中は飴かなり食べてました。
誰しも考えることは同じですね(笑)

小腸造影は僕も二度とやりたくないですね。
というか鼻の穴から管を通すことそのものがダメです。
まだおしりから入れられる大腸ファイバーのほうがぜんぜん耐えられます。
でもエレンタールをやられてる方はそんなこと言ってられないですよね。
なんか自分の考えが甘い気がしてきました。
ちょっと反省です(笑)

またお暇なときブログ覗いてください。
お願いしますm(_)m


投稿 shin | 2005年9月24日 (土) 08時46分

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